どうも、ロン・タイランです。
シンコーミュージックの『Acoustic Guitar Book』は、アコースティック・ギターの現場で長く信頼され、読まれてきた専門誌です。
62号の「TransAcoustic」特集、そしてYAMAHA・アコースティックギター60周年を記念する大特集回8月発売の63号。この2号にわたり、連続してロン・タイランを取り上げていただきました。
デジタルの画面で流れていく反応とは、明らかに種類が違います。紙のメディアは、再生数よりもゆっくり届く。その代わり、記録としてずっと手元に残り続ける。それこそが専門誌という媒体が持つ力であり、本質なのだと思います。

Acoustic Guitar Book 62号。機材の可能性と対峙した一本
62号の誌面でピックアップされたのは、この動画です。
YAMAHAの最新ハイテクギターTAG3Cが凄すぎて自己紹介させてみた
この動画を作ったときの問いは、カタログのスペック表をなぞることではありませんでした。「このギターで、一体何ができるのか」。楽器の持つ設計思想に対して、自分自身の「面白いことを表現したい気持ち」と「プレイスタイル」を真っ向からぶつけ、ひとつの映像作品として成立させること。今振り返ってみても、機材紹介としても映像作品としても、あの判断は間違っていなかったと確信しています。
タイトルどおり、楽器そのものに自己紹介をさせたかったんですよね。
「自己紹介してみんかい!!!」と。だってそんなこと普通できないし、しないじゃん。でも、できた。
撮影の前日にふと思いついて、すぐ形にしたんです。それまでは「普通に紹介して、普通に演奏して……」という構成だった。
でも、プロダクト側にすでに強烈で面白い骨格があったから、全体的に良い意味で「変な動画」に仕上がった。あくまでTAG3Cという楽器があってこそだし、それを本気で大活用したからこそ、あのプレイができたし、あの動画が生まれました。ケミストリーという言葉を使うなら、まさにそういう意味なのかなと思うんです。
専門誌が「とにかく凄いことができるポテンシャルを秘めている」という楽器の可能性と、それを遊び倒した僕の文脈をきちんと汲み取ってくださって、紙の上に落とし込んでくれた。動画を単に「ネットでウケた」だけで終わらせず、新しいカルチャーの文脈として扱ってくれたこと。TAG3Cのポテンシャルを大活用した一本を誌面に残してくれたことが、62号でロン・タイランを取り上げてくれた何よりの意味だと思っています。権威ある専門誌に選ばれるというのは、再生数の多寡とはまったく別の次元の話なんですよね。
※同じ TAG3C を使って、後から公開した動画と解説記事です。誌面の軸は上の1本ですが、さらに深く知りたい方向けの補足として置いておきます。
- 【TAB譜付】YAMAHA TAG3Cの魔法!初心者から応用まで弾いて楽しむ5つのフレーズ【ルーパー&ディレイ】
- 【初心者必見】ヤマハTAG3C活用術!ルーパーとディレイでギターが10倍楽しくなるフレーズ【TAB譜付】
- ヤマハTAG3Cの「生音」は正直どうなの?電源OFFでプロが唸るアナログの真髄を語り尽くす
- ブログ解説記事:https://longtailang.info/tag3c-looper-delay-complete-map/
- ブログ解説記事:https://longtailang.info/yamaha-tag3c-acoustic-sound-test/
63号。60年の系譜に言葉を置く
続く63号は、ヤマハ・アコースティックギターの60周年大特集です。

これまで時として、デモンストレーターとしてヤマハのギターに向き合ってきました。そして、この記念すべき号に関われたことの意味は本当に大きいです。ヤマハが積み重ねてきた60年の太い線の上に、自分の一文を置かせてもらえたということ。歴史的な記念号に名前が並ぶ場所は、決して軽くないです。その重みと責任感に今、この記事を書きながら「え?ってかすごない?」と実感しております。
僕が思うヤマハらしさというものについて、
アンケートに答えさせていただきました。その内容については、紙面をチェックしていただきたいと思います。
ちなみに特集をじっくり読んだあと、気付いたら FG850 を手に入れていました。新品新品!
まだ手に入れてから2日程度しか経っていませんが、弾き倒しております。すでにレコーディングにも使っています。
誌面の熱をそのまま手の中に握っているような感覚がある。単に新しい道具を買い足したというより、大好きなメーカーの60年の歴史に、プレイヤーとしてファンとして参加している感覚に近いんですよね。記事を読んで終わらせなかった、「つまり買うんだよ!」ということであります(笑)。
いや、欲しくなるような、すごくいい記事だったんだよ必見。



リリースの前に紙面へ刻まれた骨格。
さらに63号のニュース欄では、2ndアルバムのリリースについても取り上げていただきました。前号の TransAcoustic 解説からの流れを汲む形で、「ロン・タイランのニュー・アルバムが9月23日に発売予定」と紹介されています。
作品名は『FRAGMENT TELEMETRY』(フラグメント・テレメトリ)。断片と遠隔測定を組み合わせたタイトルです。前作『Say hi to everyone』から9年。これまで散らばっていた無数の信号を10編の楽曲に集約する、というアルバムの根幹のコンセプトまで、丁寧に誌面に掲載していただきました。
「楽曲は過去からの信号であると同時に、これから先への信号でもある」という僕からの一文も載っています。僕がブログ等で言語化してきた感覚を、雑誌が先に活字として固定してくれた形です。ルーパーやディレイを駆使したプレイヤーとして紹介されていることも含め、現場で音を作ってきた人間としてしっかり受け止めています。
制作中の作品に、完成前に公の空気が一度通る。短いニュース枠に見えるかもしれませんが、タイトルの意味も、9年の歳月も、双方向の信号というコンセプトもすべて入っている。自分で語るより先に、専門誌が作品の骨格を美しく定義づけてくれたように思うんです。身が引き締まる。まじ感謝でございます。
『FRAGMENT TELEMETRY』──名刺ではなく、表現の核として残す
2026年9月23日、2ndアルバム『FRAGMENT TELEMETRY』をリリースします。
今回、フィジカルの媒体として選んだのは CD ではなく「NFCカード」です。スマートフォンをかざすと、ハイレゾ音源がダイレクトに届く仕組みになっています。
これは決して珍しさを狙ったギミックではありません。円盤という形式に戻るのではなく、手に残るミニマルな質量を保ちながら、音の解像度は一切落とさずに届ける。「機材の山を並べずに、ミニマルシステムとソフトウェアで壮大なスケールを作る」という僕の制作アプローチと、リスナーへの渡し方を綺麗に一致させたかった、というわけです。あとCDプレーヤー持ってねえし。あと在庫管理に場所取らないのは地味にやばい。
サウンドはロン・タイランとしてこれまで積み上げてきた芯をブラさず、正統に深度を一段深めました。小難しく閉じこもるのではなく、輪郭はくっきりと保ったまま、聴いた瞬間に「そうそう、この手つきだ」と分かる質感はすべて残しています。
そして何より、この作品を単なる「名刺代わりの1枚」にはしたくないという想い。名刺は渡して自己紹介が終われば役目を終えてしまう。渡して終わり、覚えてもらえたら成功、という消費のされ方はFUCKと考えております。
この9年分の試行錯誤を圧縮したくはありません。これからのライブの強力な核になり、次の動画や表現の強固な土台になるような、手応えのある「パーツ」として残したいと思っています。過程過程!
ミニマルシステムとソフトウェアを駆使した制作環境(Antigravity精神)の話は、前回の記事に詳しく書いてあります。今回は誌面のお話がメインなので、作り方はこちらの記事をチェックしてください。
https://longtailang.info/fragment-telemetry-antigravity/

今後の続報は、このブログと X で順次出していきます。
9月23日、めちゃくちゃ楽しみにしていてください。
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