『フラグメント・テレメトリ』── 9年ぶりの2ndアルバムと、Antigravity という作り方

フラグメント・テレメトリ - ロンタイラン 2ndアルバム制作ノート

先日、X でひっそり発表をしました。

9年ぶりの 2nd アルバム『フラグメント・テレメトリ』、作っています。全10曲。

X では仮ジャケ1枚と数行だけだったので、ブログではもう少しだけ深く話します。タイトルの意味と、今回の「作り方」の話です。

『フラグメント・テレメトリ』── 過去からの交信

フラグメントは、断片。
テレメトリは、遠隔測定 ── 深宇宙の探査機から地球に届く、あの信号のことです。

前のアルバム『Say hi to everyone』から、9年。
9年前の自分は、今の自分から見ると、もう深宇宙の彼方の存在で、手の届かない場所にいます。でも、たまに信号が届く。バラバラの、9年間の断片で。

その断片を10個並べたのが、このアルバムです。

曲って、聴いた瞬間の感覚や思い出や風景があると思うんです。それぞれの楽曲が、そういうものをまた連れてきてくれる。僕にとって楽曲の一つ一つが、過去からの信号だったりする。そして今回それを製作して世に出すことで、未来への信号にもなる。過去と未来の両方向に双方向に、信号が飛んでいく感覚です。

フラグメント・テレメトリ 仮ジャケット
仮ジャケット。方向性としては、こういう温度と高度です。

Antigravity ── ハードを使わない、という冒険

今回の制作には、もう一つコンセプトがあります。Antigravity ── 反重力。googleではない(笑)

アウトボードのコンプも EQ も使いません。大型コンソールも、でかいモニタースピーカーも、スタジオブースもなし。録音もミックスも、ソフトウェアと、ヘッドホンと、マイク。それだけで完結させます。

誤解しないでほしいのは、ハードの否定では全然ない、ということ。プロのエンジニアさんがハードに拘るのは正解だし、僕はそれを心から尊敬しています。ただ今回はこっち側でトライしてみる、という話です。

なんで反重力か。
ハードって、物理的に重いんですよ。場所を取るし、移動できない。その物理的な重さに、創作が引っ張られる感覚が、僕の中にずっとあって。ソフトだけなら、重さがない。どこでも、同じ環境で続きが作れる。MIXはガストか星乃珈琲店で行う予定です(笑)

そして、ここが一番大事なところ。安いから Antigravity、ではありません。賢く選んだ道具で、ハイエンドの結果を狙う冒険です。

録音の流れ ── マイクからモニターまで

信号の流れはシンプルです。ギターの前に AKG C3000B を2本(ステレオのAB左右)と、真ん中に Audix SCX25A。3マイク構成。20年くらい使い続けてる C3000B は、流行を追いかけず信頼できる相棒という感じです。

3本使うと位相のズレが宿命的に起きるので、Sound Radix Auto-Align 2 で補正します。職人が耳とメジャーでやってたことをソフトが肩代わりしてくれる。ビックリするほど位相がビチッと合う。これが無いと、コムフィルタで音が痩せる。

まとめるのは Antelope Zen Quadro。USB-C 1本、机の上にちょこんと置けるサイズなのに、コンバーターの質と内蔵 DSP がしっかりしてる。小さくて軽いけど、音には妥協しない。

録音中の耳は OneOdio Studio Max 2(ワイヤレス)。有線ヘッドホンのケーブルがボディに当たる音や、クリック漏れをマイクが拾う地獄から解放される、という話は以前のブログでも書きました。

モニター ── 大型スピーカーなしで、どう判断するか

「でかいモニターがないのに、ミックスは?」── ここが今回の核心のひとつです。

ミックスの主戦場は Steven Slate VSX。ヘッドホン1個に、有名スタジオ環境、車内、クラブなど20種類以上のモニター環境が入っている。日本の住宅事情だと、部屋いっぱいのスピーカーを鳴らすのは難しい。でも VSX なら、モデリングした音で、複数の環境を聴き比べながら判断できる。

それに加えて、Amateras Japan のフルレンジスピーカーでもチェックしています。ヘッドホンだけに閉じこもらず、物理的なスピーカーでも最終確認する。大型モニターは使わないけど、二系統で耳を裏取りする、という運用です。

ソフトの反重力 ── プラグインに助けられてる部分

エフェクトも、かなり最新のプラグインに助けられています。リバーブは Valhalla DSP の FutureVerb が最高。透明感と奥行きがアコギに合う。ミキシング周りは Techivation の AI プラグインをめちゃ使ってる。Waves や Sonible、Antelope cosmos、Soundtoys も含めて、ソフト側で「重い機材の仕事」を肩代わりしてもらう設計です。

ハードを捨てたんじゃなくて、物理的な重さをソフトと賢い機材選択で置き換えた、というのが今回の Antigravity の実体です。

んで、いま録っています

レコーディングは、もう始まっています。進捗はだいたい 5割。手応えは ── かなり、いいです。

このアルバム専用の細かいワークフローが、dawの操作含めてようやく固まってきた感覚がある。マイク3本 → Zen Quadro → Auto-Align。 ワイヤレスで録りながら、VSX とフルレンジで仕上げる。毎回同じ手順で戻れるから、曲そのものの「断片」に集中できる。

各曲の匂いや風景の話、機材のさらに細かい使い方は、近いうちに動画でガッツリやるつもりなので、そちらでも。

続報は、このブログと X で出していきます。

9年ぶりの信号ビンビンですわ。


機材リンク ── Amazon ストアフロント

この制作で使っている機材の多くは、俺の Amazon ストアフロントにまとめてあります。

Longtailang Amazon ストアフロント(普段使ってる機材を全部並べてます):https://www.amazon.co.jp/shop/longtailang

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